サイトアイコン よむ注射 ~水野浩志のメルマガバックナンバー~

私のサラリーマン物語 ~恋ならぬ仕事の片道切符~

おはようございます。
水野です。

さて今日は、火曜日恒例の私のサラリーマン時代の
お話であります。
では、早速参りましょう!
 
 


━━━━━
  ● 私のサラリーマン物語 ~恋ならぬ仕事の片道切符~
─────
上司に噛みついたため、大阪への長期出張という形で
飛ばされてしまった私。
とはいえ、東京の本社で気に入らない人たちの下で
ストレスにまみれて働いているより、自分が元々
やりたかった技術者の仕事ができ、食べ物もうまい
大阪の地での仕事の方が、快適でありました。
最初は40日という期間での出張も、さらに1年間の
延長ということとなり、ホテル暮らしから、マンションを
会社で借り上げてすむこととなったため、生活環境も
よくなりました。
ということで、立場的には左遷だったようですが、
そんなことは全く気にせず、私は大阪ライフを満喫して
していました。
そんな生活を始めて半年ほどたった頃。
ある日、給料日に銀行に行くと、振り込まれている
はずの給料が入っていなかったんです。
宵越しの銭は持たない江戸っ子気質の私としては、
これはゆゆしき問題であります。
すぐに会社に電話を入れて聞いてみたところ、
「とりあえず半分は今日払うから、残りはもう2,3日待ってくれ」
という総務からの返事が。
えー? いったい何が起きたんだ?
お金なら唸るほど持っていたんじゃなかったのか?
いぶかしがりながらも、のんきに構えていた私でしたが、
次の月もまた、期日通りに給料が入ってこない。
そして、今度は10日待ってくれという話に。
そう、実は1990年から始まったバブル崩壊の波が、
ついに親会社の不動産会社の経営を襲い、資金繰りに
詰まってしまったのです。
こちらは、いくら上司は無能で変な奴ばかりとはいえ、
資本金一億円の会社に入ったんですから、まさか入社して
1年くらいで倒産するなんて思ってもいませんでした。
しかし、私のゼロに限りなく近い銀行の残高を見る限り、
遠く離れた地に飛ばされた貧乏な私の給料が振り込まれなく
なるくらい資金繰りにひっ迫しているのは事実のようです。
さらに、数日経ったものの、給料が全額振り込まれることもなく、
会社の総務に連絡しても、らちが明かない状態。
他の知り合いなどに話を聞いてみると、どうやら、危ない人が
会社に取り立てにやってきたり、若社長が辞めて別の人間が
社長になったりと、何やらきな臭い状態だそうで。
で、結局、その月のうちに、会社は正式に倒産となり、私は
大阪に出張に出たまま、帰る場所を失ってしまいました。
恋の片道切符ならぬ、仕事の片道切符になってしまうとは……
あまりの出来事に、そんな冗談すら頭に浮かんで茫然とした
1991年の10月のことでした。
 
 
●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━……………‥‥
           今日のトーク術・まとめ
           人生に、絶対大丈夫はない。
‥‥……………━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●
当時の私にとっては、もう青天の霹靂であり、かなりの不安と
ストレスで相当悩みました。
なにせ、資本金一億円ですからね。
資本金一億の会社って、会社全体の中の、トップ1%くらいしか
ないんですから、基盤も相当しっかりしていて、まず大丈夫だろうと
当時の私は思っていましたから。
それに、バブル華やかな時代を見ていましたしね。
土地は買ったら上がるもの。
タクシーは、道端で万札振らないと止まってくれないもの。
新入社員だったので、給料はそれほど多くはもらっていません
でしたが、浮かれまくっている世間の雰囲気だけは、肌で
感じ取っていましたから、まさか、そんな時代があっという間に
崩れ去ってしまうとは思ってもいませんでした。
ということで、このほど左様に、あたりまえだと思っていたことが
あたりまえではなく、絶対と思っていたことが絶対ではない、という
経験を20代のうちにできたのは、当時の私にしては、本当に
つらかったものの、今にして思えば、経験できてよかったと
思うんですよね。
そして今、バブル崩壊のとき以上に大きな変革を迎えており、
今後ますます予断を許さなくなってきている状態の中で、
いまだに
「自分だけは大丈夫」
だと思っている人を、研修などで見かけるにつけ、当時の自分を
振りかえって、早く目を覚ましたほうがいいのになあ、と思うので
あります。
会社とか環境とか、自分の外側にあるものにすがっている状態で
「絶対大丈夫」
なんて思っていても、その条件が崩れてしまえば、すぐに
危機的状況になってしまうのが、やっぱり見えないんですよね。
でも、普通の人よりは波乱万丈の人生を歩んできた私にとっては、
自分の外側のものに頼って、「絶対大丈夫」などと思い込んで
いるのは「ぜったいに危険な考え方」だと思うんですよ。
ですから、この私の経験を、ぜひリアルに自分の身に置き換えて、
自分自身は、会社や環境が大きく変わっても大丈夫でいられるよう、
今から何をするべきか、ぜひ考えてみてくださいね。

モバイルバージョンを終了