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一介の平凡で小心な公務員が犯した歴史的大罪

おはようございます!
水野です。
本編の前にお知らせを。
人の上に立ち、人を導くリーダーの方たち向けの話し方講座を
来月の8月25日と9月2日の二日間をかけて開催致します。
タイトルは、
『リーダーのための、人を動かすスピーチ実践講座』(仮称)
です。
自分が伝えるべきメッセージがあり、人前で話す必要もあるが、
人まで話すことに苦手意識があったり、もうひとつ聞き手の
反応が思わしくない、という方や、さらに説得力・納得感が
高まるスピーチをしたい、とお考えの方は、是非このセミナーに
参加して下さい。
詳細は、サイトの準備ができ次第お知らせ致しますが、興味のある
方は、8月25日と9月2日は、予定を押させておいて下さいね。

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● 一介の平凡で小心な公務員が犯した歴史的大罪
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1961年6月1日未明、1人の男性がイスラエルのラムラ刑務所で
絞首刑に処されました。
その男の名は、アドルフ・アイヒマン。
元・ナチス親衛隊中佐で、ヒトラーの指令の下、
ユダヤ人問題の最終的解決、いわゆるホロコーストに
関与し、多くのユダヤ人を強制収容所に送り込み、
数百万人もの尊い命を奪いました。
終戦後に、一旦アメリカ軍に拘束されたものの、偽名を使って
正体を隠し、そのご捕虜収容所から脱出。
その後逃亡生活を送るも、1960年5月11日にアルゼンチンの
ブエノスアイレスにて身柄を拘束され、戦時中の残虐な
行為により、戦犯として死刑を宣告されたのでした。
アイヒマンが捕まるまでは、多くの人々が、彼の姿を
ふてぶてしい大悪人であると思い込んでいました。
しかし、実際のアイヒマンの姿を見た人が得た印象は、
「一介の平凡で小心な公務員」
という姿でした。
実際にアイヒマンも、自分が残虐な人間であるという
認識はしていなかったようで、尋問に対しても、
「私はただ命令に従っただけだ」
と主張していたそうです。
しかし、命令とはいえ、それで何百万人もの人間を
殺害することが出来るほど、人間とは残酷になれる
ものなのでしょうか?
もし仮にあなたがアイヒマンと同じ立場に立ったと
したら、同じように、何百万人もの人間を殺すことが
出来ますか?


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● 人の良心だけに頼っては事態の改善は図れない
─────
この疑問に答えるべく、ある実験が行われました。
その実験は、アイヒマンが拘束されて、世間が騒然としていた
1961年に、アメリカ、イェール大学の心理学者である、
スタンリー・ミルグラムによって行われました。
前提はこうです。
被験者は、記憶に関する実験として、新聞広告を通じて、
募集された、20歳から50歳までの男性。
地域性による性格の違いや職種なども考慮して、偏りのない
バラエティーに富んだ人たちが選ばれました。
表向きの実験のテーマは、「学習における罰の効果を測定する」
というもの。
被験者は全て教師役となり、生徒役とペアを組みます。
被験者たちはあらかじめ間違えた罰として生徒が受ける
45ボルトの電気ショックを痛みを体験しておきます。
その上で、教師と生徒が別の部屋に分けられ、インターフォンを
通じて、お互いの声のみが聞こえる状況とします。
被験者である教師は、生徒に対して問題を出します。
生徒が間違えると、被験者である教師は、生徒に電気ショックを
流すよう指示をされます。
最初は、自分自身も体験した45ボルト。そして、間違えるたび
15ボルトずつ電圧が上がり、最大で450ボルトまで上げられます。
各ボルトのスイッチには、それぞれ苦痛の度合いや危険度が
記されており、200ボルトの部分には「非常に強い」375ボルトの
ところには「危険」と書かれていて、450ボルトのところには、
「XXX」と書かれていて、これはもう、死をも意味するほど
激しいものだと想定できるような表記がされています。
実験の責任者である白衣を着た男性の指示の元、教師役の
被験者は、生徒に出題をします。
そして、生徒が間違えるたびに、15ボルトずつ電気ショックの
電圧を上げていくのです。
生徒はたびたび間違え、そのたびに電圧が上がります。
電圧が上がるたびに、生徒の苦痛の声が大きくなり、その声を
教師役の被験者も聞いています。
ただし、これは実際に電気ショックを与えているのではなく、
さくらである生徒役は役者で、迫真の演技で苦しむのです。
とはいえ、その苦しみ方は非常にリアルであり、その苦しむ声は
耳を覆うほどのひどさであったといいます。
当然、その声を聞いた教師役の被験者が、実験の継続を
拒否する可能性も大いにあります。
その場合、白衣の男性は、暴力的な強制はせず、
一切感情を乱さず、超然とした態度で、
次のようなステップで指示を出します。
1.続行してください。
2.この実験は、あなたに続行していただかなくては。
3.あなたに続行していただく事が絶対に必要なのです。
4.迷うことはありません、あなたは続けるべきです。
ステップ4の指示を出しても、それでもなお教師役の被験者が
実験の継続を拒否した場合、その時点で実験は中止、または、
最大ボルト数である450ボルトを3回続けて流されるまで、
実験は続けられます。
さて、この実験で、果たして何パーセントの人が、最大ボルト数まで
電気ショックを与えたでしょうか?
事前に、同大学の心理学専攻の生徒や見るグラムの同僚に聞いたところ、
実際に最大の電気ショックを与える人は1パーセント程度だろう、
という予想でした。
しかし、実験の結果は……
■ なんと、60%以上の人が、最大ボルト数の電気ショックを与えた
のだそうです。
あなたと同じような、どこにでもいる、普通の良心を持った
人たちであるにもかかわらず、
■ 閉ざされた環境の中で、権威者から命令されると、
いとも容易く、残酷なことが出来てしまう
人間の良心というものは、かくも脆いものか、
と愕然としてしまいます。
あなたは、「自分だけはそうはならない!」と言えますか?
自分の良心に、自信がありますか?

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今日のトーク術・まとめ
閉鎖的な環境で権威者から指示があると人間は良心を捨て悪にもなる
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アイヒマンは、処刑前の尋問時に、自分が行った残忍な行為に
付いてどう思うか聞かれたとき、ナチスによるユダヤ人迫害に
ついては「大変遺憾に思う」と述べたものの、自身の行為に
ついては「命令に従っただけ」だと主張したそうです。
つまり、自らが悪であるとは認識していなかったんですよね。
現在、大津市で起きた、いじめによる中学生の自殺のニュースが
世間を賑わせています。
そして、いじめた子や親だけではなく、いじめを放置した学校の
校長や先生、そして、市教委の人たちが取っている言動、行動に、
非難が集まっています。
確かに、報道されていることが事実であるならば、彼らは何とも
残酷であり、良心のかけらもない人間であるように見えるでしょう。
ですから、たくさんの人々が、彼らに対して、強烈なバッシングを
行っています。
しかし、このミルグラムの実験を知った上で、改めて
この問題を見てみると、
■ 責められるべきは、人以上に組織の問題の方ではないか
と思うんですよね。
実際に、バッシングをしている人たちも、あの学校の先生や
市教委の人間になったら、おそらく多くの人たちが、彼らが
していたような、残酷で、良心のかけらもないような事を
やってしまうでしょう。
そして、問題が発覚して世間からバッシングを受けている今もなお、
自分が悪であるとは思わず、責められる意味すら理解出来ない人間に
なってしまう事でしょう。
ひょっとすると彼らは、学校や教育委員会という、閉鎖的な
環境の中で、いじめは握りつぶし、あったとしても認めない、
という姿勢で望むというあり方を、上に立つ権威者から指示され、
その考えを脈々と受け継ぎ続けたのかもしれません。
だとすると、彼らの悪の行為ばかりを責めても、問題の解決には
全くならないんですよね。
そうやって、腐ったみかんを排除しても、みかん箱自体に、
みかんを腐らせる原因があるならば、結局また腐ったみかんが
生まれてくるだけです。
ですから、組織そのものを解体・再構築するくらいのことを
やらないと、あの問題は解決できないと思うのです。
そしてそれは、他の組織でも同じ事が言えるでしょう。
程度の差こそあれ、会社という閉鎖された環境の中で、社長や上司
という権威者が、理想とはほど遠い、ずれた指示を出していると、
社員は必ず腐ったみかんとなります。
昨日のメルマガでも紹介した、上司の愛人が経営するバーに
売上貢献をするため、会社のお金を使って、飲み代のノルマを
課している組織も、そこで働く人は、きっと良心に従わない
行動を取り、結果として腐ったみかんとなることでしょう。
その環境でもなお腐らずにいるほどの強い良心というものを
普通の人間は持ち合わせていないのです。
そして、そういった
■ 社会に高い価値を提供せず、腐ったみかんを生み出す組織
というのは、私は少なくないと思うんですよね。
ですから、もしあなたが、大津市のいじめ問題を見て、教師や市教委の
人たちを強くバッシングしていたり、強く非難する気持ちを抱いていた
としたら、そのエネルギーと良心を、彼らのバッシングに費やさず、
彼らを他山の石として、そのエネルギーを、自分が属する組織が、
きちんと社会に良い価値を提供出来るかどうかを冷静に見つめ、さらに
高い価値を提供する事に費やしていきましょう。
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なかなかお返事ができませんが、
もし良かったら一言声かけて下さいね。

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● 編集後記
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NHKだから仕方の無い表現なんだろうけど、かなりきな臭い感じ……
942 名前:可愛い奥様[sage] 投稿日:2012/07/18(水) 00:51:43.68 ID:lOObEFc0O
>>941
昔NHKの料理番組で、味の素の事を
「あの、例の白いお粉を入れます」
って言ってたってのを思い出した。

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