サイトアイコン よむ注射 ~水野浩志のメルマガバックナンバー~

華やかな世界を目指す子供に不安を感じる親御さんへ

本日のテーマ:【思い込みを捨てる】
こんにちは! 水野です。
先日の企業研修でのこと。
長時間のディスカッションタイムを取って、参加者同士で
自由に話をしてもらっていたときに、あるグループで、
子育ての話になったようです。
その時の参加者は40代の方がメインでしたので、
子育てといっても、幼児ではなく、物事の分別も
つき始めたり、思春期を迎えた子供の子育てに
ついてのお話しでした。


その時にいたグループの方たちは、ほぼ皆さん、口を揃えて
 「もっと地に足のついた考えをして欲しい」
と言って悩んでいたんですよ。
ある方は、息子がミュージシャンを目指したい、といって
自分を困らせている、と語りました。
またある方は、プロのサッカー選手になりたいといって、
辞めておけと言ってもいうことを聞いてくれない、と
ぼやいています。
他の方たちも、目指す分野は違うものの、いわゆる
企業で働くビジネスパーソン、という世界ではなく、
スポーツや芸能など、何らかの能力に秀でた人たちが
活躍する世界を目指していて、それが悩みである、
と言うんです。
なるほど、子供を持つ親としては、ごく一握りの
人間しか成功できないような、過酷で厳しい世界で
苦労をするより、ささやかでもいいから、幸せに
生きていって欲しいもの。
こういった華やかな職業を目指して、成功できずに
苦労している人の事などよく知りもしない子供たちに、
「世の中は甘くない。普通に生きることが幸せなのだ」
そう思って、人生の軌道修正を図っていって欲しい。
そんな気持ちがひしひしと伝わってくるようでした。
私自身も、子供の頃は、ずいぶん夢を見ていたものです。
私の場合は、大学生時代に
「映画監督になりたい!」
と思って、大学を辞めて映像制作の専門学校に入りました。
父からは、
「そんな夢みたいなことを言ってるんじゃない。
 お前みたいなヤツが成功など出来る訳ないだろう。
 夢を見る気持ちは分かるが、成功できる人間なんて、
 本当にごくひとに切りの、突出した才能を持っている
 人だけだぞ。
 せっかくまっとうな大学に入ったんだから、そこを
 きちんと卒業した上で、普通の会社に入って働け」
と、何遍も言われました。
でも、結局私はいいだしたら聞かない人間で、専門学校に
映ることを強く求め、最後は父も折れて、大学をやめない
事を条件に、専門学校に通わせてもらう事になりました。
で、いま私は映画監督になれたか、というと、ご覧の通り、
なっておりません。
多くの人と同じく、やっぱり夢は破れてしまいました。
そして今、若い頃よりはずいぶん分別もつくようになった
私は、夢を抱いて厳しい世界に向かおうとする子供たちを
引き留める親御さんたちの気持ちが、痛いほど分かる……
……なんてことは全くなく、
「今のうちにやりたいことをやらせてあげればいいのに」
と、実に残念な気持ちになったんですよね。
たしかに、こういった華やかな世界を目指して成功できる
人は、本当にごく一握りでしょう。
でも、その栄光を目指して、本気で努力をしたのならば、
仮にその世界で成功できなかったとしても、今後の人生に
活かすことが出来る貴重な経験を積むことは、間違いなく
出来ると思うんですよね。
実際に、私自身も、映画監督にはなれませんでしたが、
その時に学んだことは、本を書いたり、セミナーを
作るときなどに、現在の仕事に多いに役立っています。
それより何より、
 ★ 高みを目指し、やりたいことに徹底的にのめり込んだ
という経験ができた、ということが、一番の財産になっていると、
私は実感しているんですよね。
あの経験があったからこそ、今自分が仕事をしていても、
「今の自分は、『本当にやり切った!』と言えるくらいの
 仕事をしているか?」
という事がきちんと自問自答出来ますし、やるからには、
徹底的に、やれるだけのことをやろう、という気持だって
生まれます。
まあ、そう思っていながらも、そこまでやりきることが出来ない
という事も、正直言うと多々ありますが、少なくとも、やり切れて
いない事は自覚していますし、それで良いとも思っていないので、
次こそは! という気持で仕事に取り組んでいます。
そんなスタンスで研修をやっていて、企業で働く人たちを
見ていると、能力も才能もあるのに、かなりの数の人が、
そこそこのレベルを目指して、しぶしぶ働いているという
状態なんですよね。
それだけならいいのですが、さらに根深い問題だと感じるのは、
本人たちにその自覚が全くない、という事なんです。
みんな、自分なりには高みを目指しているし、それなりに
前向きになって働いている、と思っている。
でも、傍で見ていると、
「あなたの目指せるレベルとやる気って、その程度じゃないでしょ?」
と思ってしまうんですよね。
なんで組織で働く人たちの多くがそうなってしまうのか、
不思議に思っていたんですが、今回の受講生が口にしていた
子供たちへの悩みを聞いて、これこそが原因の根幹なのかも
しれない、と思ったんですよ。
一握りしか成功できないような世界を目指したい、という気持は
子供の時には大抵一度は芽生えるもの。
その時に、その気持を精一杯支援し、圧倒的な高みを目指す
事を応援し、やりたいことに徹底的にのめり込ませてあげる。
そうやって育てられた子供は、高みを目指して努力すること、
やりたいことに徹底的にのめり込むことを体験します。
その体験をベースとして、今後の生き方の指針が決まりますので、
やりたいこととやりたくないことがはっきりしますし、やるからには、
高い理想に向かって徹底的に取り組む、という行動も取れるように
なります。
しかし、親にもっと普通に行きなさいといわれて、やりたいことを
抑制され、普通に生きることを強いられた子供はどうなるか。
やりたいことを押さえつけられて育ったら、やりたい、という
気持ちは持たないようにしようと思うでしょうし、やらなければ
いけないことしかやってはいけないんだ、というマインドセットが
出来てしまうでしょう。
さらに、圧倒的な高みを目指して徹底的にのめり込んだことも
ないので、全てにおいて、ほどほど、そこそこ、といったレベルで
行動するようになり、それがその人の価値観としてすり込まれて
行くでしょう。
そうやって、多感な時期を過ごした子供が、大人になったら
いったいどうなるか、もう語るまでもないでしょう。
親は子供の幸せを願うもの。
しかし、最初から高みを目指す事をあきらめ、ほどほど、そこそこの
思想で生きてきた人が考える幸せが、本当に全ての人にとっての
幸せになるのかどうか。
少なくとも、未来の可能性を秘めた子供たちに、そのチャンスを
奪うような行為をすることが、本当に子供の幸せにつながるのか。
もっと言うのならば。
子供の幸せを願う、と口にしながらも、本音の所は、
自分が理解出来る範疇に子供を押し込めておく方が
安心だから、という親のエゴでしかないのではないか。
子供を持つ親御さんは、是非このあたりの問いを、真剣に
自分にぶつけてみてください。
 
 
今日のメルマガはいかがでしたか?
良かったと思ったらクリックしてください。
   → http://clap.mag2.com/maedroutri?20131022
  ※コメントも書けるようです。
   もし良かったら感想を聞かせて
   下さいね。
 
 
━━━━━
  ● 編集後記
─────
情けない話ですが、我が家もこんな感じです……
865 名前:おさかなくわえた名無しさん[sage]  投稿日:2013/10/21(月) 09:33:24.93 ID:GJqmg4DA
 昨夜、家にゴキブリが出た。
 子供を避難させ、雑誌を丸めた武器を片手に、
 嫁と2人でゴキブリを追い回した。
 しかし、俺は、ゴキブリが飛んだ瞬間、
 恐怖で逃げだしてしまった。
 嫁はというと、逃げた俺には目もくれず、飛んでる
 ゴキブリに狙いを定め、丸めた雑誌をバットのように振り、
 ゴキブリを壁に叩きつけて、やや弱ったゴキブリを、
 捨てるような布で覆い、その上から手で握りつぶした。
 
 仕留めたゴキブリを握ったまま拳を俺に突出し、
 「父ちゃんやったよ!」と満面の笑みで笑う嫁を見て
 絶対に逆らえないと思った。 
 
 

モバイルバージョンを終了