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● わかりやすく話そうとしてはいけない
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このメルマガをお読みになる方の中には、セミナーや研修、または
イベントなどで会社や商品・サービスについての講演をするなど、
大勢の人の前でお話しする機会があるいう方も多いでしょう。
そして、その方たちは、大勢の人たちに理解してもらうためには、
どうやってコンテンツを作ればいいか、日々頭を悩ましていると聞きます。
そんな人たちが参考にしようとよく手にするジャンルの本として、
プレゼンテーション(以下プレゼン)関係のものがあります。
それらの本の中には、自分が伝えたいことをわかりやすく
表現する方法がたくさんかかれています。これは確かにすばらしい。
しかし、プレゼンがうまいという人が、必ずしもセミナーや研修、
講演などでうまく結果を出せるとは限らないんですよね。
その大きな原因は何かというと、
「わかりやすく話そうとする」
という、大きな落とし穴にはまっているからなんです。
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● 話を聞く人たちの心理を探る
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わかりやすく話すことがなぜいけないのか、それをお話しする前に、
まずプレゼンとセミナー・研修・講演の違いを考えて見ましょう。
いずれも、複数名の人間を前にして自分の考えを述べる、という点では
同じようなものだと思われるかもしれません。
しかし、参加者のおかれた立場や意識に注目して考えてみると、
これらはまったく違うことがわかります。
まず、プレゼンのほうですが、こちらは
・参加者に話を聞く目的がある
・プレゼンが終わった後は、参加者が適切な判断・行動する義務がある
・(極端に言えば)意思決定権者だけが理解・納得できればよい
といえるのではないでしょうか。
つまり、参加者の気持ちとして、聞きたい・聞きたくないに
かかわらず
◆ 話を聞いて、判断行動を起こさなければいけない
ということが、プレゼンの場合は参加者に義務付けられているんですね。
だから、こういう人たちに対しては
◆ わかりやすく話す
ということが求められるわけです。
ところが、セミナー・研修・講演にこられる参加者の意識は、
程度の差こそありますが、上記とほぼ真反対になります。つまり、
・参加者に話を聞く目的意識がない
・セミナーが終わったあとに、参加者が判断・行動する義務も無い
・参加者の一部だけでなく、全員に理解・納得してもらう必要がある
というわけです。
ここで参加者の気持ちになって考えていただきたいのですが、
もしあなたが聞きたくも無い、と思っている話をわかりやすく
話されたとして、果たして十分に理解・納得できるでしょうか?
それ以前に、聴く耳すら持たない、という状態になることが
当たり前なのではないかと思います。
つまり、わかりやすく話す前に
★ 話しを聞きたいという気持ちを作る
ことがとても重要なわけです。
例えば、今私が
「ナスティテルメス・シロアリの生態について、
わかりやすくお話させていただきます」
といったら、果たして皆さんは聞きたいと思うでしょうか?
よっぽどのシロアリ好きしか、興味を持って聞いてみよう
とは思わないでしょう。
しかし、
「100年以上生きる虫がいるって知ってますか?」
「体長10センチ以上のアリがいるってご存知ですか?」
といえば、多くの人が
「なにそれ? ちょっと知りたい」
と思うでしょう。
こうやって、参加者の興味・好奇心を、自分の話したい内容に
向けていくというステップが、セミナー・研修・講演には
必要になるのです。
わかりやすく話す、というのは、この気持ちを向けるステップを
十分にやりきった後のこと、というわけですね。
参加者は、話し手である私たちが想像する以上に話を聞こうという
意識を持っていないものです。
これは、皆さん自身が参加者の立場になったときのことを
思い返してみれば明らかだと思います。
だからこそ、「聴きたい!」と思わせるような気持ちのベクトル作りを
是非心がけてくださいね。
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今日のトーク術・まとめ
わかりやすく話す前に、聴きたい! と思われる気持ち作りをしよう!
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私自身、セミナーの仕事を始めるにあたっては、
プレゼン関係の本を読んで勉強しました。
しかし、それだけでは、成果や結果につながるセミナーには
ならなかったんですよね。
ご存知の方もいらっしゃるでしょうが、元々私は
悪習慣改善をテーマにしたセミナーをやってました。
このセミナーは、巷によくある普通のセミナーと違って、
結果が求められるんですね。
禁煙したいと思って参加してくださった方に、
「いやあ、先生、(スーッ)
今日は本当にすばらしい話を聞かせてくださって(プハァー)
ありがとうございました! (トントン)」
と、タバコを吸いながら言われたら、それはもうだめなわけです。
それでも、最初のうちは一生懸命わかりやすいセミナーを作っては、
結果が思うように出ないことに悩んでいたわけです。
そんな中で試行錯誤していくうちに、自分の伝えたい話を、
★ 参加者が心から納得し、行動してもらう方法
を、少しづつ見つけていったのです。
今日お話したのは、その中の一部でありますが、まずはこの点だけでも
認識を改めることで、ずいぶんと話し方、伝え方が違ってくるんじゃ
ないかと思います。是非取り入れてみてください。
もし、あなたがセミナー・研修講師をされていらっしゃるのならば、
参加者に対してきちんと伝わるコンテンツ作りのさらに詳しい方法が
解説された教材もあります。
本日までの特典もありますので、ご興味のある方は、
こちらもご覧くださいね。
→ http://sp.m-stn.com/chk/080131a.html
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● 編集後記
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冒頭にもお話した講師サミット2008。
この中の企画として、発起人全員が、書初めを書いて張り出す、
というものがありました。
私、字を書くのがとっても苦手なんで、辞退したかったんですが、
それを許してくれそうな雰囲気は無く、しぶしぶ書いたんです。
書いた言葉は「失敗こそ財産」。
とってもすばらしい言葉で、私の座右の銘のひとつでもあるのですが、
私、あまりの緊張で、
◆財産の「財」の字の右側を「寸」
って書いちゃったんですね。
そんなことにまったく気づかないまま当日を向かえ、
思いっきり間違えた字のまま、会場に張り出されてしまい、
さらには、イベント終了後に、会場に来ていた方にプレゼント
されてしまったようなんです。
なんともはや、こっ恥ずかしい!!
しかしまあ、「失敗こそ財産」と書いた書初めが失敗している、
というのも、なんか自分らしいな、とも思ったりもしますが……
メルマガで書けるネタにもなったから、ある意味財産に
なったともいえますしね。
……しかし、これはかなり精神的ダメージがでかいです。
今からでも遅くないから、朱色の墨汁で訂正しに行きたい心境であります。
もし、このメルマガをお読みの方で、私の書初めが当たったという方が
いらしたら、是非名乗り出てください。改訂版をお送りいたしますので。
どうかよろしくお願いします……