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● 前回の復習
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前回は、怖い話はなぜ怖いか、ということで、稲川淳二さんの
恐怖話を紐解いてみました。
そして、怖い話は恐怖の対象が近づいてくるように話すと
より怖さがましますよ、というお話しをしました。
さて、今回は、怖い話だけでなく、聞き手の感情を動かす
話し方の秘密に迫っていきましょう。
早速、前回同様、稲川さんの恐怖話をお聞きください。
→ http://www.j-inagawa.com/sale/dvd_sp.html
このサイトの一番右側にあるビデオ、「林間学校」のお話しです。
おっと、その前に、今回はひとつだけ意識して聴いてほしいことが
あります。それは
■稲川さんが感情について話しているところがあるか
ということです。
その点に十分注意をしながら、早速見てみましょう。
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……見ましたか?
それでは、見ていただいた方から、次へお進みください……
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● 感情を動かすには感情表現をしてはいけない
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さて、いかがでしたでしょうか
皆さん、この話を聞いてどう思いましたか?
いやあ、やっぱり怖かったですよね。
しかし、感情表現に注意して聞いてみると、実はほとんど
感情表現をしていないことに気がついたはずです。
実際に、怖かった、とか、恐ろしかった、という表現は
まったく使っていませんでしたよね。
そう、怖い話をするときは、
■感情を語ってはいけない
わけなんですね。
感情は、聞き手自身が思い思いに味わうものであり、他人から
押し付けられるものじゃないんです。
だから「怖い」「恐ろしい」という言葉を投げかけられても、
決して怖くなったり恐ろしくなったりはしませんし、むしろ
うるさいなあと思って、かえって気持ちがさめてしまうものです。
では、稲川さんは、いったいどのように語っていたでしょうか。
実は、彼がやっているのは
■事実の羅列
だったんですね。
まあ、それだけだとちょっと表現が大雑把過ぎるので、これをもう少し
詳細に見ていきますと、
■五感での体験を表現している
ということになります。
・小さな女の子が言った「来たよ」と声を【聞いた】
・人魂、川に落ちた女の子、腐った顔、白くにごった眼を【見た】
・その子ががっしり自分を掴んでぐいぐい引きずり込むのを【感じた】
このように、聴覚・視覚・触覚と、五感を刺激するような表現を
することで、聞き手は主人公の経験をリアルに追体験出来るわけです。
そして、その追体験によって、主人公と同じ気持ちを味わう
ことが出来るようになるのです。
感情とは、どのように生まれるのか。それは、
■外部からの客観的な刺激
から生まれるわけです。だから、感情を動かすためには、
語り手であるあなたの感情を語ることはせず、
★五感を刺激するように話をする
ことが重要なんですね。
これは、怖い話に限ったことではありません。
面白い話、感動する話、どんな話であっても、この五感を刺激する
話し方を心がければ、聞き手の心を動かす話が出来るのです。
逆に、自分の感情を言葉にして相手に話してしまうことは、
相手の感情を動かすことにならないばかりか、むしろ押し付けがましい
と思われて、思惑とはまったく別の感情が生まれてしまうことにも
なりかねません。
あなた自身の想いや考えを前に出していくのではなく、
事実を語ることで、聞き手に自由に感情を味わってもらいましょう。
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今日のトーク術・まとめ
五感を刺激するように語れ!
自分の感情は語らずとも、五感に訴える事実を語れば感情は生まれる!
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