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ベスト・キッドでみた指導の難しさ

おはようございます!
水野です。
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さて今日は、ベスト・キッドを見ていて思った、
指導の難しさについて考えてみたいと思います。
では、早速参りましょう!
 
 
━━━━━
  ● ジャッキー、師匠となる
─────
2010年公開された映画「ベスト・キッド」。
いじめられっ子が、達人から空手を学び、強くなって
相手を倒す、という、1984年に公開されたオリジナル版は、
全世界で大ヒットを飛ばし、パート4まで制作されました。
四半世紀経った後に作られたこの作品は、オリジナル版の
ストーリーを踏襲しながらも、空手をカンフーに替え、
師匠を、あのジャッキー・チェンに据えました。
私は、ジャッキーのファンであり、「ドランクモンキー 酔拳」
出大ブームが起きた後は、ほとんどの作品を見ています。
その頃は、師匠にしごかれる若者だったのに、あれから
30数年経ったこの映画では、ウィル・スミスの息子、
ジェイデン・スミスの師匠となり、彼をしごいています。
あれから30年以上経つと、ジャッキーも師匠となる年齢に
なるんだなぁ、と感慨深く映画を見ていました。
さて、この映画では、ジェイデン扮するドレを、ジャッキー
扮するハンがカンフーの指導をするシーンがたくさんあります。
その中でも、カンフーを一番始めに学びにきたドレに対し、
師匠のハンが一本の棒を指した柱の前に立たせ、
「上着取って、着て、脱いで、捨てて、拾って、かける」
ということを、延々と繰り返させます。
それこそ、晴れの日も、雨の日も、ただただひたすら
これをドレにやらせ続けるのです。
不承不承ながら、その指示に従っていたドレですが、
あまりに理解不能の練習が続くので、ある日キレてしまい
練習を投げ出して帰ってしまおうとします。
そのときハンが、ドレを呼び止め、クンフーの技を
仕掛けます。
「取って! 着て! 脱いで! 捨てて! 拾って! かけて!」
と叫びながら、技を繰り出すハン。
その声に会わせて体を動かすドレ。
師匠の繰り出す技を、そのかけ声通りに体を動かすことで、
すべて受け止めてしまいます。
そう、無意味と思えた上着の脱ぎ着を通じて、いつの間にか
ドレは、カンフーの型をマスターしていたわけです。
ということで、師弟をテーマにした映画には、必ずといって
いいほど出てくる、黄金パターンである、
 「弟子が理解できないような特訓を強要する師匠の図」
というものが、この映画でもしっかり出てくるのでありました。
しかし、なぜ師匠は、弟子に対して、こういった理解不能な
特訓をさせるのでしょう。
あなたは、この指導方法について、どう思われるでしょうか?
 
 


━━━━━
  ● ベスト・キッドでみた指導の難しさ
─────
そもそも、何で師匠たちは、弟子に対して、きちんとした
理由を説明せずに、謎の特訓を強要するのだろう。
そう思われる方も、きっと多いことと思います。
今回の件に関しても、師匠のハンは、ドレに対して
「上着を脱ぎ着する一連の行動には、カンフーの型が
 含まれているんだよ。
 だから、それをマスターさせるために、この訓練を
 やるんだよ」
と伝えた上で、この特訓をさせても良いのではないか。
確かに、この考え方は、
 ■ 学ぶ側の理論として筋が通っている
ように思います。
しかし、弟子が短期間で高いレベルに到達しなければ
いけない場合、この「学ぶ側の理論」で教えていると
結果が出ない恐れがあります。
今回の映画でも、ドレと、彼をいじめる少年が、近々行われる
空手大会で戦わなければいけない、という状況になったんです。
だから、ハンはドレに詳しく説明をせずに、ひたすら
上着を脱ぎ着させたのです。
では、説明を先にしてしまうデメリットは何でしょうか。
私なりに考えても、非常にたくさんあるのですが、
主だったものを2つ上げてみましょう。
1.師匠の指示にはすべて意味があると理解させる
今回のケースでは、まず一番最初に、師匠が弟子に対して
理解不能な特訓をさせます。
それが最終的には意味のあることがわかり、実際に
自分自身も強くなったことを知ると、弟子としては、
「この師匠について行けば間違いない」
と思うことでしょう。
逆に、弟子が何も出来ない状態の時に、師匠が理由をあれこれ
説明してしまうと、何かをやるに付けて、
「それはどういう意味か?」
と弟子は聞くようになり、説明して理解しなければ、
訓練をしなくなってしまうかもしれません。
時間があるなら、その遠回りもありかもしれませんが、
限られた時間の中で、結果を出さなければいけない
育て方をするとなると、このタイムロスは大きいでしょう。
ですから、まず最初に、説明せずに強制的に訓練する、という
儀式を通ることで、今後の指導に当たり、効果的な関係を
作れるというわけです。
2.中途半端に頭で理解すると、それ以上の理解の妨げになる
未熟な人間は、変に頭で理解をすると、それで分かった
ような気になってしまいます。
そうなると、本当に知って欲しいことまで伝わらず、うわべの
理解で分かった気になってしまい、結果成長出来なくなって
しまうことが多いんですよね。
それに、師匠と比べ、圧倒的に経験値が少ない弟子には、
師匠が伝えたいメッセージを、いくら言葉を尽くして
説明したとしても、決して深く理解できるはずありません。
にもかかわらず、弟子を理解させることに時間とエネルギーを
使うのは、無駄な努力と言っても良いかもしれません。
机上の勉強と違い、体を動かし、相手に勝たなければいけない
という条件の下では、頭による理解など大きな意味はなく、
それよりも、体で経験させる量を圧倒的に増やすことが、
よほど成果につながります。
ですから、頭で理解させる前に、体を使って覚え込ませてしまい、
出来るようになってから、その意味を教えて納得させる、という
プロセスを取った方が、本質的な学びを吸収するには一番いい
ということになるのです。
この話は、何も映画の中やスポーツの世界だけにかぎった
話ではありません。
ビジネスシーンでも、師弟関係があり、師匠が弟子を立派に
育てるプロセスの中には、必ずといって良いほど
 ★ 弟子が納得できないことを師匠が強要するプロセス
があるんですよね。
ですから、もしあなたが、自分自身を大きく成長させたいと
思っているのならば、是非、その理不尽さを受け入れて、
強要されたことに、ひたすら熱心に取り組んでみて下さい。
ある日突然、自分が驚くほど成長していたということに
気づくかもしれませんよ。
 
 
●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━……………‥‥
           今日のトーク術・まとめ
弟子を成長させるために、師匠が納得のいかない試練を強要することがある
‥‥……………━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●
では、師匠は弟子に対して、納得のいかない試練を与える場合、
どういう姿勢と態度で臨むべきでしょうか。
弟子に理解させるのが面倒だからと説明を省き、自分が
よかれと思う試練を、思いつくままに与えていたら、
きっと弟子は潰れてしまうか、逃げて行ってしまうでしょう。
そうしたら、あなたはだれも育てられない名ばかりの師匠と
なってしまいます。
そうならないためにどうしたらいいか。
今回見たベスト・キッドでは、その当たりもしっかりと
描かれていました。
まずハンは、いじめられているドレをカンフーを駆使して
倒します。
1対多、という状況の中で、次々と技を繰り出し、
襲ってくるいじめっ子たちを倒していく姿を、
ドレが見ることで、彼からカンフーを学びたい、
と申し出ます。
しかしハンは、カンフーは戦いのためにあるのではない、
とそれを断り、代わりに、いじめをやめさせようと、
いじめっ子が通う道場にドレと一緒に出向いてやります。
つまり、ここでハンは、最初に自分の実力を見せた上で、
ドレに対して、愛情の手間をかけてやったんです。
しかし、交渉は決裂し、あろう事か、カンフー大会に
出場することになってしまい、結局ハンは、ドレを
弟子に受け入れるわけです。
次に、カンフーを学びにきたドレに対し、ハンは、
上着の脱ぎ着の繰り返しを命じます。
このとき、ハンは、おもねることもなく、毅然とした
態度で、この訓練を命じます。
そして、その繰り返す姿を見守ります。
ここから、上着の脱ぎ着の訓練シーンが続くのですが、
ハンは、訓練のネタ晴らしをする際に、ドレが、もう
これ以上意味不明な訓練を続けられない、という精神的な
限界をきっちり見極めるんですよね。
そして、そのタイミングを見計らい、ようやく今までのが
カンフーの訓練だったとネタ晴らしをします。
これは、試練を弟子に強要しつつも、片時も忘れずに、
弟子を見守り、弟子の心情を汲み取り続けていた、
ということになりますよね。
私自身も年月を重ね、人を育てる側にいることが
多くなりましたが、ハンのように、勇気を持って
弟子に指示を出し、その上で、常に弟子を見守り
続けるようなことが出来ているかどうかを考えると、
反省することしきりであります。
この映画を見ながら、人を育てることって、本当に
生半可なことではないんだなぁ、と襟を正されたので
ありました。
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  ● 編集後記
─────
ということで、映画「ベスト・キッド」、スロースタートな
映画でありながら、後半は俄然盛り上がって、最終的には
とてもおもしろい映画でありました。
特に、ジャッキーが初老の男性を演じているのですが、その
もの哀しさ感がとても良くって、見ているだけで涙ぐんで
しまいそうです。
また、ウィル・スミスの息子ジェイデンも、父子で共演した
「幸せのちから」の時から、ぐっと男らしくなっていて、
これまた泣かせられました。
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