人を育てる立場にいるリーダーの多くは、メンバーたちに
「やる気を持って働いて欲しい」
という期待を持っているようです。
しかし、実際にメンバーたちが皆やる気を持って働いてくれるか、というと、なかなかそういうことにはならず、そのことで悩んだり苛立つリーダーも少なくありません。
もしあなたが、このリーダーのような悩みを持っているのならば、まずは、
■ 人にやる気を求めることは、即刻やめる
事をお勧めします。
そもそも、やる気などと言うものは、他人から求められて出せるようなものではありません。
いや、実は、本人ですら、なかなかコントロール出来ないものが、このやる気、というものなんですよね。
あくまでも、本人の心の姿勢によってやる気は生まれるものであり、その心の姿勢とは、その人の心のコアなところから産まれるもので、
「やる気にならなきゃいけないから、やる気を出そう」
と思って出せるようなものではないのです。
また、仮にやる気を出せたとしても、この「やる気」というのは個人差が非常に大きいもので、ある人が
「自分は今、やる気になっている!」
と思っていたとしても、別の人から見たら、
「その程度のものは、やる気のうちには入らない!」
と判断されることも、よくある話です。
このような
■ 当人ですらコントロールが難しくかつ主観で評価が変わるもの
を、リーダーがメンバーに対して声高に求めてしまうと、これはもう、お互いが苦しくなることは避けられないでしょう。
だからこそ、リーダーは、「やる気」という【基準が不明瞭なあやふやなもの】を、メンバーに求めてはいけないのです。
では、リーダーはメンバーに何を求めるのか? それは、シンプルに、
★ そのメンバーに出して欲しい、具体的な成果
なんですよね。そして、リーダーの仕事は、メンバーにやる気がなくても、その求める成果を出せるような仕組みを考えたり、メンバーがその成果を出せるようなサポートをしていくこと、なのです。
さらに言うならば、メンバーが本当の意味でやる気を出すことが出来るようになるのは、
★ メンバー自身が、求められる成果を出せるようになった時
なんですよね。
だから、リーダーは、先にやる気にさせてから、成果を出させようとするのではなく、
「しっかりサポートして、先に求める成果を出させることによって、やる気を生み出していく」
という順番で考えた方が、最終的な目的を達成しやすくなります。
というと、
「その成果が出てこないから困ってるんだ!」
という人も出てくるでしょう。
その場合はどうしたらいいか。それは、
★ そのメンバーが、確実にその成果を出せるという手応えを感じるまで、成果を細分化していく
ということを行えば良いのです。
例えば、メンバーに求める成果が、「月の売上1000万円」だとしましょう。
この求める成果を、そのままメンバーに求めても、達成してこない場合、この設定では、メンバーはいつまでも成果を出すことは出来ない、と判断する。
なので、そのメンバーが「これなら出来る!」と実感出来るまで、成果の細分化を細分化する。
例えば、その1000万円の売上を達成する為には、月に4件の成約が必要だとすると、その4件の成約を取るために、どれだけの見積数を取らなければいけないか、その見積もりを取るためには、どれだけの面談数を取らなければいけないか、その面談数を取るためには、どれだけのテレアポをしなければいけないか、といった事を、全て書き出して共有していく。
(そもそもテレアポなんて時代遅れな事をやっているから成果がでないのだ! というツッコミは、この際脇に置いて下さい笑)
そして、最終的なテレアポ数については、本人の意志でコントロール出来るので、そのテレアポ数を、例えば1日
単位でいくつ必要かを計算し、今日はその数だけテレアポをすることを約束させ、それを実践させる。
そうすると、一日単位ではありますが、求められる成果をメンバーが達成したことになりますよね。
こういった形で、求める成果を出すプロセスを全て洗い出していきそのメンバーが「それなら出来る!」と思えるレベルまで、細分化し、それを、確実に実行させるのです。
(この、細分化した成果を、ベイビーステップ、といいます)
もちろん、これをやったらすぐに求める成果が出る事は、まずありません。
なので、求める成果(今回の場合で言えば、テレアポ数)を達成したことは先ず認めつつ、その成果によって生まれた、次のプロセスの結果(面談数や見積獲得数、成約数)も見る。
そして、その結果の数字が、予想していたものより低かった場合、1日のテレアポ数を増やすのか、面談数を上げるためのトークスクリプトを見直すのか、といった、改善ポイントをお互いに話し合う。
そして、やはりメンバーが「これなら出来る」と思えるような成果目標を新たに縦、それを実践させる。
そして、その結果をまた検証し、成果の改善を図っていく。
これを繰り返して行くと、ベイビーステップの成果はその都度達成しつつ、最終的に求める成果に、にじり寄っていくことが出来ます。
そして、日々の成果を達成しつつ、最終的に求められる成果に近づいているという実感を手に入れられることが出来たら、メンバーも、徐々にやる気になっていくことでしょう。
このプロセスこそが、メンバーを確実にやる気にさせていく、具体的な方法なのです。
人によっては、これを読んで
「ここまでやらなきゃいけないなんて面倒くさい!」
と思うかもしれません。しかし、逆に言えば、ここまでのことをやらなければ、メンバーは育ちませんし、そうなると、成果を出してこないメンバーを、いつまでも抱え続けることになり、そちらの方が面倒くさいことになるでしょう。
逆に、ここまでやれば、よほどのことがない限り、メンバーは育ちますし、育ったら、リーダーは非常に楽になります。
成果を出せないメンバーを抱え、終始イライラしながら、チームとして求められる成果を出せないリーダーでいるか。
それとも、最初の手間を惜しまず、メンバーを育てていき、最終的に、楽にチームの成果を出していけるリーダーになるか。
選択次第で、どちらのリーダーにもなれるとしたら、あなたはどちらを選びますか?
ぜひ、ご自身の意思で、決めて下さいね。
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