企業研修などで、リーダーのポジションにいる人が、仕事に対してやる気の無いメンバーに対して、
「アイツらはおかしい!」
と腹を立てている人をよく見かけます。
まあ、気持ちはわからないでもないですが、そうやって、腹を立てながらメンバーと接していても、事は解決しませんよね。
なので、そんなリーダーに、私がお勧めするのは、
■おかしいのは、やる気のある自分の方だ
と、まず考えましょう、ということであります。
普通の人は、皆、仕事は出来ないものだし、仕事にやる気なんか無いのが当たり前。
それが普通の人である、という世界の中で、自分は、仕事も出来、仕事のやる気もある、
「普通じゃない、おかしな人」
だからこそ、リーダーになれたのだ。
だから、おかしいのは、メンバーたちじゃなくて、自分の方なのだ、という自覚を持つ。
そして、メンバーたちの能力や姿勢の方が、普通であり、当たり前なのだ。
……ということを、まずはいったん、受け入れてしまいましょう。
その上で、
「普通で当たり前の人たちに対して、世間ズレしていて、おかしな自分が、どう関わりながら、チームで成果を出していくことが出来るか?」
と考えてみましょう。
私自身も、企業研修の講師をしていますが、参加者の方が、皆受講する気満々で、前向きな姿勢で、やる気に溢れた人たちばかりだった、ということは、ハッキリ言って皆無です。
むしろ、ほとんどの人が、研修に対して、やる気が無く、それどころか、後ろ向きだったり、否定的だったりするケースも少なくありません。
企業研修を始めた最初のうちは、
「会社がお金を払ってくれて、自分の能力が高くなるせっかくの機会なのに、研修に対してやる気が無いとは不届き千万である!!!」
と腹を立て、
「君たち!! そんなやる気の無い姿勢で良いと思っているのか!!」
と怒ったことも、何度かありました。
しかし、その結果は散々なもので、受講生のほとんどはドン引きし、完全に心のシャッターを降ろされ、聞く耳を持ってくれませんでした。
なので、その後は、こういうもの言いはしなかったものの、しばらくの間は、受講生のやる気の無さに腹を立てながら、イライラした気持ちをグッと抑え込みながら、研修をしていました。
その結果、いきなり怒ることも無くなったせいか、それなりの研修が出来るようになりました。
しかし、心の奥では、苛立ちがくすぶっている。
そのため、精神衛生的にもよろしくない。
また、こういった負の感情は、隠し通せるものでも無いので、時々顔を出して来ます。
そうすると、やっぱり、それを受講生も察して、私から距離を置いたり、耳をふさいだり、といった事もありました。
そんなことが続いていた中で、あるとき、
「ああ、そうか。やる気の無い受講生の方が正常で当たり前であり、やる気がある受講生の方が、異常でおかしいのだ。
では、彼らが当たり前だとして、どのようにカリキュラムを組み立て、どのように彼らに接していけばいいだろうか?」
と考えて、自分の研修のやり方や、講師としてのあり方、受講生との関わり方を、全面的に見直して行ったんですよね。
その結果、最初はやる気の無かった受講生も、研修が進むにつれ、皆がやる気に、とまでは行かないものの、かなりの人たちが、前向きに参加してくれるようになって来たんですよね。
私が、どのように研修を見直したかについては、1つの記事では到底書き切れませんので、別の機会に譲りましょう。
ただ、1つ確実に言えることは、
「やる気がある方がおかしく、やる気が無いのが当たり前」
と考えることによって、
★ 精神的なエネルギーロスが激減した
ことが、もの凄く大きなメリットだったんですよ。
リーダーで、人を育てる立場にいる方ならお分かりかと思いますが、ビジネスの成果を出しながら、同時に人も育てる、というのは、かなりのエネルギーが必要となりますよね。
だとすると、リーダーはまず、
★ 無駄なエネルギーの浪費をやめる
ことをすべきでしょう。
やる気の無いメンバーにイライラして腹を立てる、というのは、過去の自分を振り返ってみると、ただただ無駄にエネルギーを
浪費していたと言わざるをえません。
しかし、「やる気が無いのが当たり前」の考え方をするようになってからは、必要以上にイライラしなくなった分、無駄なエネルギーの浪費はなくなりました。
だから、今まで浪費していたエネルギーを、研修の改善に向けることが出来、その結果、研修のクオリティを大きく上げることができたんですよね。
リーダーのエネルギーは、大変貴重なものです。
そのエネルギーを、リーダー自らが、無駄に浪費することは、避けるべきなのです。
なので、繰り返して言います。
おかしいのは、仕事も出来て、やる気も高い、あなたの方なんです。
仕事にやる気が無い方が、普通であり、当たり前なのです。
まずはそう考えて、エネルギーの浪費をストップさせましょう。
その上で、やる気の無いメンバーたちと、どう関わって行くか、自分の関わり方の何を変え、仕事の仕組みや流れをどう変えて
いけば良いかを考える。
その思考の部分に、今まで浪費していた分のエネルギーを全投入してみてください。
そうすれば、必ず、チーム外衣形で変わっていくことでしょう。
今日のまとめ
- やる気の無いメンバーにイライラするリーダーは、やる気がある自分の方がおかしいと自覚すべし
- そう考えることで、リーダーにとって大切なエネルギーのロスが軽減される。
- その上で、そのメンバーに対してどう関われば、チームの成果を出していくことが出来るのかを考えよう。
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