なかなか育たない部下を持つリーダーの多くが、共通に持っている悩みは、
「仕事が出来ない部下にどこまで時間とエネルギーを割けばいいのか?」
というものではないでしょうか。
これに対しての答えは、ずばり、
★ 仕事の出来ない部下には、時間とエネルギーを一切注ぐな
であります。
なかなか過激な考えに聞こえるかもしれませんが、順を追って説明しますね。
まず、こういう気持ちになっているリーダーは、どういう心情かというと、
■ 育たない部下に時間とエネルギーを奪われている
と思っているわけですよね。
で、さらに言ってしまうならば、
■ そんな部下とは、出来ればあまり関わりたくない
くらいまで思っていたりするわけです。
そして、育たない人を育てるには、やはり、それなりの時間はかかりますし、ある程度愛情をかけてのサポートが必要にもなるわけです。
だからといって、そんな部下と関わりたくないと思っている人に、それをやりなさい、と言っても、なかなか受け入れられない。
仮に、それでも無理矢理やらせたとしても、おそらくうまくは行かないでしょう。
だったら、もう、そのリーダーに取って貴重な時間とエネルギーは、そんな部下には注がない方がいいんですよ。
そして、その育たない部下を、自チームから追い出し、自分の力で育てられる部下だけでチームを構成して、結果を出していけばいい
のです。
……というと、
「そんなことで来たら苦労はしない!」
と言い出す人も、出てくるでしょうね。
そう、このチーム運営は、非現実的な理想論であり、実際に、このようなチーム運営は、したくても出来ない、と言うのが現実です。
そしてリーダーは、与えられた人材と環境の中で、求められる結果を出していかなければいけないんですよね。
そんな役割が、リーダーであるあなたには求められているわけです。
だとしたらどうするか。
やはり、自分自身が、どんな人でも育てられるリーダーに育っていくという選択が、一番現実的であり、建設的なんですよね。
しかし、今のこの状態とはつまり、
■ 今のあなたは、人を育てるリーダーとしての能力に欠けている
ということも意味します。
まあ、ある意味無能状態であるとも言えるわけです。
そんな、人を育てる事に無能な人が、無能なままで、人を育てようとしてはいけません。
だから、今のあなたは、仕事が出来ない部下に対して、その部下を育てよう、という意志を持って時間とエネルギーを注ごうとしては、絶対にいけないのです。
そうではなく、
★ 仕事の出来ない部下との関わりを通じて、リーダーとしての自分自身の成長に、時間とエネルギーを注ぐ
と考えましょう。
つまり、時間とエネルギーを注ぐベクトルを180度変え、部下を育てるのではなく、自分が、部下を育てられるリーダーとなるように、自分自身を育てていくのです。
そうすれば、その時間とエネルギーは無駄にならず、100%凡て、あなたのためのものとなり、有効に活用されることでしょう。
世の中には、色々なタイプの人間がいて、育て方も十人十色。
だからこそ、育成についての考え方も手法もたくさん身に付けておけば、どんな人が自分のチームに来ても、育てられ、成果を出して行くことが出来ます。
そんなリーダーになるために、誰かがこの、仕事が出来ない部下を自分に送り込んだ。
そんな、自分にとって、ありがたい存在であり、愛すべき存在なのだ。
そう考えて、その部下が育つような関わり方が出来るリーダーに、自分がなろうと思って時間とエネルギーを自分自身に注ぎ込む。
こう考えはじめると、色々な変化が生まれます。
まず、部下が育たないことが、部下のせいだとは思わなくなります。
部下が育たない関わり方を、こちらがやっているんだ、という考え方になるんですよね。
だから、部下に対しての責め心や苛立ちが、基本的には無くなってきます。
仮にイライラしても(まあ、最初のうちは、もの凄く頻繁にイライラしますが笑)、上記の考えを、順を追って思いだしたら、イライラも落ち着いて、仕切り直せます。
で、部下に対しての責め心が無くなると、コミュニケーションも、今までより良好になっていきます。
良好になれば、こちらの伝えたいことや、部下の考えや思いも、今まで以上に理解出来るようになります。
そうなれば、その部下に対して、どのようにアプローチすればいいかも、今まで以上に見えてくることでしょう。
そうやって、部下の変化・成長を確認しながら、これではうまく行かない、こうすればうまく行く、という試行錯誤を、自分自身の成長のために繰り返して行く。
そうすれば、あなたの成長と共に、部下も成長して行き、結果として、素晴らしいリーダーと、素晴らしいチームが育って行くこととなります。
ということで、もしあなたが、仕事が出来ない部下を抱え、育てられずに悩んでいるならば、是非、この考え方で、部下育成ではなく、自分育成に取り組んでみて下さいね。
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