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厳しい人・優しい人になりたい人へ


もっと厳しくしなければ、もっと優しくしなければ


先日、研修中に受講者の佐々木さん(仮名)から、こういう質問を受けました。
「この間、上司から
『お前は部下に対して甘い。もっと厳しく接していけ』
といわれました。
でも、厳しく接する事が本当にいいことなのか、正直疑問に感じるんですよね。
きつく当たって部下が育つとは、私は思えないんですよ……」

すると、隣に座っていた加藤さん(仮名)が、私も、と手を上げ、こう質問してきました。
「私は佐々木さんと逆で、『お前は部下に対してきつい。もっと優しく接していけ』
と言われたんですよね。
でも、優しく接したら、部下を甘やかすことになって、結果的に部下が育たないと思うんです!」

おー、実に対照的で面白い発言だ。
私はそう思って、おもむろにホワイトボードに向かいながら、こんなお話をしました。


厳しい人・優しい人になりたい人へ


「今のおふたりのお話は、非常に面白いですね。
せっかくですから、皆さんで考えてみましょう。
おふたりのお話を伺って、興味深いキーワードが4つ出てきましたね」

私はそう言って、次の言葉を書き出しました。

●厳しい・きつい
●優しい・甘い

そして、2つずつの単語を丸で囲みながら、こう言いました。

「おふたりの話の雰囲気からすると、『厳しい』と『きつい』のペアと、『優しい』と『甘い』のペアが、それぞれ同じような意味合いのように使われていますよね」

佐々木さんと加藤さん、そして周りの受講生が頷きます。

「ではここで、ちょっと質問させて下さい。
『エースをねらえ』に出てくる宗方コーチは、厳しい人ですか? それとも、きつい人ですか? あ、「エースをねらえ」をご存じない方のためにどんなお話か解説しておきますと……」

と、ここから約10分間、お得意の漫画ネタで、一方的にこのマンガのことを息を荒げて熱く語ったのですが(笑)長くなるのでそこは割愛させて頂きましょう。
「エースをねらえ」をご存じ無い方は、是非調べてみて下さいね。

「……というのが、「エースをねらえ」というマンガの全貌なのですが、改めて質問をしますと、岡ひろみを育てた宗方コーチは、 厳しい人ですか? それとも、きつい人ですか?」

受講生たちは、あのマンガを知っている世代ですので、大笑いしながら私の話を聞いたうえで、全員が『厳しい人』の方に手を上げました。

「なるほど。宗方コーチは『きつい人』ではなく『厳しい人』なんですね。
とすると、『厳しい人』と『きつい人』というのは、意味が似ているように見えて、明らかに違う言葉のようですね。
では、いったいこの2つの言葉の意味は 何が違うんでしょうか?」

受講生たちは、確かに言われてみれば、という顔をして、考え始めようとしましたが、私はそれを遮りました。

「ちょっと待って下さいね。もう少し質問を続けます。
先ほどのおふたりのお話では、『厳しい・きつい』と『優しい・甘い』は、対極にあるようなイメージがありましたよね。
そこで、あえて聞きたいのですが、【宗方コーチは『優しい人』では無い】と思いますか?」

一瞬、受講者たちは迷ったような顔をしましたが、ややあって全員首を横に振りました。

「そうですか、では彼は『優しい人』なんですね。
では彼は『甘い人』ですか?」

今度は即座に全員が否定しました。

「なるほど。つまりこういうことになります。
彼は『厳しい人』でもありますが、『優しい人』でもある。
ということは、一見対極的に見えるこの2つの言葉には、何か共通項があるようですね。

また彼は、『優しい人』であっても『甘い人』ではない。
ということは、先ほどと同じように、『優しい』と『甘い』は、似ているようで違う言葉でもあるようです。
さて、ここまでの話を振り返って、ペアになった言葉の持つ意味の違いは何か、そして、対極的に見える2つの言葉に含まれる共通点は何か、宗方コーチの人間性を参考に、ぜひ考えてみて下さい」

受講者たちは、ディスカッションに入り、しばらく侃々諤々したあと、

・厳しい人と優しい人の共通点は【信念と愛情】があるということ
・甘い人やきつい人は、【信念と愛情】が弱いのかもしれない

という、素晴らしい結論を出されたのでありました。


今日のトーク術・まとめ
厳しい人、優しい人になるためには、【信念と愛情】を持とう!


「なるほど、とても素晴らしい結論でした。
では、このディスカッションのきっかけを作ってくれた佐々木さんと加藤さんは、【信念と愛情】が弱い人、ということになりますでしょうか?」
皆さんが慌て手首を横に振ります。
「そうですね。そんなことはありません。
ただ、表面的に見える厳しさや優しさが強ければ強いほど、より高くより深い【信念と愛情】が必要になります。
宗方コーチも、世界に通用する日本のテニス選手を育てる、という強い信念と、岡ひろみがそれだけの選手になれる、という強い信念に基づいて、彼女を育てました。
またあるとき、岡がプレッシャーに負けそうになり、試合前日に退部をしようと宗方コーチの 家に電話をかけますが、言葉が出ずに黙りこんでいると、宗方コーチが『岡だな……』とひと言。
驚き、なぜ自分だと解ったのか、と岡が聞くと、宗方コーチはこう言いました。
『俺が考えていることといえば、いつでもお前のことだけだからだ』

宗方コーチは、育てている岡に対して、これだけの愛情をかけ、
これだけの信念を持って接している訳です。
だから、彼の厳しさは、受け入れられ、認められたのでしょう。
ただ、そう考えていくと、実は、「厳しく接するVS優しく接する」という議論は、まったく本質的な話ではなく、そんなことよりも、

★ どれだけ高い信念と、どれだけ深い愛情を持って部下に接するか?

という事の方が重要である、という事に気付きますよね。
ですから、佐々木さんや加藤さんに限らず、優しさや厳しさを
意識するのであれば、表面上の 言動や振る舞いを変えようと
するより、部下に対しての信念を高め、愛情を深める事に、
情熱を注いでいきましょう。
そうすれば、言動や振る舞いが厳しかろうと優しかろうと、
部下はきちんと育っていくでしょうからね」

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